──不妊。

中絶による影響で不妊になることは稀らしいのだが、彼女はその少ない確率に当たってしまった一人だ。

専門的な話はよくわからなかったが、まだ15歳という未熟な体で堕胎手術を受けるというのは普通の倍のリスクを伴う物らしく、中絶の影響から子宮がひどく傷ついてしまい、うまく受精卵ができても着床できない状態になってしまっているらしい。

妊娠を望んでもできないというのは、想像以上に辛い物で……

それは例えば「子供はまだ?」と尋ねる無神経な言葉や、赤ちゃんを抱いて幸せそうに笑う女の人も、小さな子供の声すら全てが自分を責めているように感じていたと彼女は言った。

俺は今まで、子供を堕胎すということを軽く考えていた。

女を抱くときは面倒なことになるのが嫌で一応避妊していた。けれど、それは決して女性を気遣ってのことではない。

幸い相手が妊娠するようなことにはならなかったが、もしデキても堕胎させればいいと思っていた。

彼女が子供を中絶して、精神的に物凄く傷ついた話を聞いて、その考えは変わったけれど、本当の辛さはわかっていなかった。