「……話してよ。あんたが抱え込んでいること」

 優しく抱き締められ、気持ちが落ち着いてから、彼女に聞いた。

子供ができないこと。旦那に恋人がいること。

きちんと知りたいと思った。

彼女が抱えていることを。本当の彼女のことを。

「でも、それは……」

「あんたの気持ち少しでも楽にしてやりたいんだ。あんたから見たら俺なんて頼りにならないガキだけど、でも、俺も一緒に背負うから……背負いたいんだ。一緒に」

自分の辛い状況を話したがらない彼女に、俺は心からの言葉でそう言った。

それでも躊躇している彼女をまっすぐ見つめてもう一度

「聞かせて」

と言うと、彼女は小さく「はい」と返事をして、少し緊張しているのか呼吸を整えるように小さく深呼吸をしてからゆっくりと話を始めてくれた。