本当は、他の女に触れた手なんて嫌に違いないはず。

彼女の深い愛情を感じて、今度は喜びで涙が止まらなくなった俺に、彼女はとても幸せそうな表情を浮かべる。

「あなたを愛してる」

──アイシテル

彼女の発したその一言は、今まで聞いたどんな言葉より美しく、俺の心に響いた。

この言葉を俺は今までも何度も聞いたことがある。体だけの付き合いだった女たちから。ベッドの上で。

俺も何度も口にした。でもその言葉は、どれもが上滑りな物だった。

愛おしい人の口から発せられたその言葉は、今まで耳にしていた物とは全く違う。

俺の心を幸せで満たしていく。