「呆れただろ? 俺はそんな奴なんだ。あんたに好きとか言ってもらえる資格なんてねぇんだ」

馬鹿みたいに泣きわめく俺に、彼女はなにも言わずに黙っていた。

静かな部屋に、俺のむせび泣く声だけが響いていた。

彼女がこのまま出ていってしまっても、仕方がない。俺はそれだけのことを彼女にしてしまったのだから。

「こんなことを言うのは自分勝手かもしれないけれど……」

声を掛けられてドキッとした。

俺は顔を伏せたまま彼女の言葉を聞いた。彼女の顔を見るのが恐かった。

「あなたの傍にいたい」

「……え?」

予想もしていなかった言葉に俺は思わず彼女を見上げ呆然と

「だって、俺は……」

と言うと、

「前に……私が子供の話をしたときに元くん言ってくれたわね。『それでもいい』って。私も『それでもいい』の。」

彼女はそう言いながら俺の『汚れた手』を取り、自分の頬に当てた。