「見たの? 私と主人が一緒にいるところを」

「こんなふうに、あんたを責めるために買ったんじゃないんだ。俺はただ、あんたが好きなパンを一緒に食いたかっただけで……すげぇ馬鹿みたいだろ? あんたが好きって言ってくれたことが嬉しくて、一人で浮かれてさ」

自分の気持ちを言葉にしながら、切ない気持ちが溢れて、喉の奥が締め付けられた。色々な思いが入り交じって涙がこぼれそうなのを、必死に我慢する。

「あんた腹にあいつの子供がいんだろ? なのに、どんなつもりで今日ここに来たんだよ! もう会えないって言いに? それとも俺が気付くまで恋愛ごっこ続けようとしてんのかよ!」

一度歯止めがきかなくなった俺の言葉は、次々と口を割って飛び出し、容赦なく彼女を責め立てる。

「あいつの子供って……」

彼女は目を丸くして、とても驚いていた。

まさか俺がそのことを知っているとは、思ってもみなかったのだろう。