こんなふうに彼女を試すようなことをして、彼女を傷つけて……

俺はなにがしたいんだろう? 

好きで。

好きで。

どうしようもないほど、彼女のことが大好きなのに。

やってはいけない、言ってはいけないと思いながら、彼女を傷つけるような言葉が止められない。

「答えられねぇよな」

立ち上がり、皿に乗せたパンを取りに行くと

「パン買ってきたんだ。一緒に食おうよ」

と言いながら、更にイヤミっぽく皿をドンと勢いよくテーブルに置いて、彼女の横に腰を下ろした。

パンを目にした彼女の表情が悲しみから驚きに変わる。

「これ!?」

「昨日の夕方、学校の帰りに買いに行ったんだ」

パリに本店があるあのパン屋は、国内ではあのデパートにしかない。彼女なら俺が昨日あのデパートに行ったことがわかるはずだ。

「昨日の夕方?」

彼女の顔色が見る見る変わっていくのが分かった。