「元くん。話して楽になるなら……」

心配して事情を尋ねようとする彼女の言葉を、俺は

「座れば」

とぶっきらぼうに遮った。

物を言わせない空気の俺に、彼女は言葉を詰まらせて、「……はい」と小さく返事をしてクッションに腰を下ろした。

「俺、まだ朝メシ食ってねぇんだ」

やかんに水を入れコンロにかける。昨日買ってきたカップを洗い、二つの新しいカップにインスタントのコーヒーを準備して、お湯が沸くのを待つ。

皿の上にパンを乗せながら彼女の方に目を向けてみる。視界の端に映る彼女は、散らばった教科書なんかを手の届く範囲で拾おうとしていた。

ふっと彼女の手が止まる。その先には、無造作に箱が開いて明らかに半分がなくなっているヒサからのプレゼントが落ちていた。

見られたくはなかったが、慌てて隠そうという気にはならなかった。

どちらかと言えば、彼女への当てつけにしてやろうと思った。