櫻井は俺が指を動かすたびに敏感に声を漏らしながら、俺の思い通り

「……やめないで」

と、すでに気持ちが高揚し赤らんだ顔で恥ずかしそうに言い、俺にギュッと抱きついてきた。

「櫻井…すげぇ…かわいい」

女をその気にさせるために、心にもないことを平気で口にしながら、俺はそのまま玄関から部屋へと続く短く狭い廊下で櫻井の体を求め、激しく抱いた。

正直、家を出る前から女を抱くことを望んでいた。ビールを買いに行くためだと自分の行動に嘘の理由をつけながら、こうなる準備をしっかりとしていた。

部屋に散らばった教科書に紛れて落ちていた、ヒサからの誕生日プレゼント。

それを目にしたとき、体に蘇ったあの感覚。

嘘でもなんでも、温もりが欲しくなった。

誰かに求められる安心感が欲しくなった。