1人で夜を過ごすのが、こんなに辛いのは久しぶりだ。
家を出てしばらくは、夜が来るたび泣きたくなった。
ウザい母親から離れて嬉しいはずなのに、心が寂しくて、暗闇に吸い込まれそうになるのが恐くて……夜中電気をつけっぱなしにして寝ていた。
夜、電気を消せるようになったのは、賭けで声をかけた女と付き合うようになってからだ。
女を抱いているとき、性的快楽と同時にもう一つ別のところで秘かな感情があった。
求められているという安心感だ。
母親に裏切られ、誰にも必要とされていない気がしていた。
体を求められるたび、それがたとえ体だけの関係であったとしても、俺は喜びを感じていた。
『求められる存在』だと実感することを強く望みながら、真面目に付き合える女を見つけようとは思えなかった。
きちんと女と向き合って本気になったところで、裏切られるのが恐かったからだ。
正直金も必要だったし、それならば割り切った関係である方がいいと考えていた。