彼女が俺の手をはずしてしまうのではないかとドキドキした。

しかし彼女は、肩を抱いていない方の俺の右手にそっと触れてきて、華奢な指先で俺の手を優しくなぞり始めた。

その指先の動きは、俺の封印している気持ちを激しく刺激する。

「もう…我慢できねぇよ……」

俺は独り言のようにそう呟くと、俺の手に触れる彼女の手を強く握り、まっすぐ彼女の目を見て言った。

「キスしたい……」

突然の言葉に彼女は引いてしまうかもしれない……

不安や緊張で胸の高鳴りが激しさを増す。

ところが彼女は俺の言葉に微かに笑うと

「……私も」

と言って、驚くべきことに彼女の方から唇を重ねてきた。

はじめて受ける彼女からのキス。

信じられなかった。

息が止まるかと思った。