家に帰って紅茶を飲みながら並んでテレビを見ていると、彼女がふいに

「私、元くんといるときが、一番自分らしくいられる気がするわ」

と、呟いた。

「え?」

「私、小さいころからずっと人の顔色をうかがってきたの。だから、なんだか不思議。こんなに自然に話ができるのは」

確かに。はじめて会ったときの彼女はそんな雰囲気があった。

『ずっと』ということは、旦那に対してもそうなのかもしれない。という考えがふっと頭に浮かんだが、旦那のことは口に出したくなかった。

「それって、俺を人として意識してないってことじゃね?」

「そうなのかもしれないわね」

「認めんのかよ!?」

互いになんだかおかしくなって、吹き出して笑う。

彼女はそのままゆっくりと、もたれかかるように俺の肩に頭を乗せてきた。

はじめての彼女からの甘えるような仕草に、ビックリして胸が高鳴り出す。