「変わってなんかいないわ。あ……きっと元くんの意地悪が移ったのね」

「ふ~ん。じゃあ、もっと移してやろうか?」

両手を広げて抱き締めようとする仕草を少し大げさにやってみせると

「遠慮しておくわ」

バッサリ切り捨てられる。

「遠慮すんなって!」

それでも広げた手の引っ込みがつかず、そのまま彼女を抱き締めてみる。

「移っただろ?」

「どうかしら」

楽しそうに彼女は笑う。

こんな夢みたい時間が、ずっと続いたらいいのに……