……なんの音だろう?

いい匂い。

匂いからして、ベーコンかなにかを焼いているようだ。

なんだ? なんでこんな匂いが?

布団にくるまったまま、まだ完全に起きられない寝ぼけた頭で、夢うつつにそんなことを考えていると

「おはよう」

と、彼女の声が頭の上で聞こえ、ビックリして一気に目が覚めた。

目を開けると、布団の横に座って俺の顔を覗き込む彼女が見える。

「あ……」

そうだ。昨日泊まったんだ。

「おはよ」

はじめて彼女と迎える朝は、別に体の関係になったわけでもないのに、なんだか照れくさかった。