正月のあいだ、俺はひたすら彼女からの電話を待ちながら、昼間は家でダラダラすごし、夕方からバイトに行く生活をしていた。

「向井くん、お正月も毎日バイトなんだぁ。頑張るね~!」

バイト仲間の、櫻井 遥香が客の切れ間にそう声を掛けてきた。

「まぁ……他にすることないから」

櫻井はどっかの専門学校に通う(前に聞いたけれど、興味がないので忘れた)タメの女だ。

「デートとかしないの?」

……めんどくせぇ。

なんで女はいつもこんなこと聞いて来るんだろ? 聞いてどうすんだ? 俺がデートしようが、しまいがお前には関係ねぇだろ!

内心そう思いながらも、まさかそんなことも言えず

「彼女、忙しいから」

と、適当に返事をする。