「きっと二人だけで千夏の誕生日を祝うのはこれが最初で最後になるからさ、どうしても豪華にしてみたかったんだよ」

千夏の心中など知りもしない京平はそう言ってケーキに立てられた18本の蝋燭に順番に火を燈していった。

家族皆で祝うでもない。

友達と祝うでもない。

京平がただ一人千夏のためだけに祝ってくれている。

「千夏が俺を欝陶しいって思ってるのはわかってるけど、これだけは、知っとけよ」

「…何?」

「俺は千夏が俺の妹に生まれてきてくれて嬉しい。俺は千夏が大好きだ」

もう、死んでもいいかもしれない。

「京平、」

千夏は震える声で兄の名を呼んだ。

「何だ?」

もう、終わりにしよう。

これで最後。

「私、お兄ちゃんのこと、好きだよ。…誰よりも1番、ずっと、好き」

今までずっと言えなかった想いをようやく口にした。
ようやく言えた。

突然の千夏の告白に京平は目を丸くして固まっていた。