(寝てたの起こしたから怒られちゃうのかな?

そうだよね…。気持ちよさそうに寝てたのあたしが邪魔しちゃったんだし……。)


彼に何を聞かれるのかわからず、不安に駆られた雪は再び目線を下に向けてしまった。
すると、彼は雪に言った。


「君の目、綺麗な色だね。」


「えっ……?」


下を向いてた雪は一瞬何を言われたのかがわからなくて少し考えた。そして、今自分がいつもはおろしている前髪をずっと抑えたままでいたことに気づいた。そして、すぐに手を離し、胸に抱いていた本を両手でぎゅっと強く抱きしめてさっきよりももっと顔を下げ下を向いた。


「どうして目を隠しちゃうの?」


「………………。」


「綺麗なのにもったいないよ?」


「………………。」


「前髪、上げてた方が似合うと思うんだけどなぁ。」


「………………。」


彼に何を言われても雪は答えることができなかった。もともと雪は人見知りなので、初対面の人と普通の会話が苦手だということもあったが、今回返事をできなかったのには他にも理由があった。