学校の外に出ると空はあきれるくらい青く澄み渡っていた、燐とした空気がおいしくて真美はなんども息を吸った。すがすがしい、こういうことをいうんだ。
毎日が日曜日みたいで学校は楽しかった、親友と呼べる人もできて。足りないのは恋人だけだった。昨年１歳年下の彼氏と別れていらい彼氏と呼べる人がいなかった・・・年下の彼氏は名前を渉といった、感情のすれ違いが続いた結果別れた。
校舎を出ると、レトロな商店街が続いていて角を曲がったところが真美のお店だった。（カラン）ベルがなって真美は店内に入った、「ごめんなさい遅れました」５分遅刻だった。マスターが渋い顔をして３回遅刻したらうちは首だからね・・・そう言った。
いつも来るお客さんのなじみの顔の中でとりわけ真美の気持ちを引いた人がいた、いつもアールグレイを飲むお客さんで来ると必ず本を読んでる、読書好きの真美としてはたまらなく魅力的に写った。一度声をかけよう一度声をかけよう引っ込み事案の真美はなかなか声がかけられずにいた、思い切って今日こそは声をかけてみた。「何の本を読んでらっしゃるんですか？」（やっと声がかけられた）「今読んでるのはサガンの連載ですよ」「男性なのにサガン？」「ええ男性でもサガンのファンはいるんですよ」
「本は好きですか？」「はいいつもかばんの中に本は一冊は入っています」
「じゃあ今度また本の話でもゆっくりしましょう」それだけの会話だったけど１年間彼を見続けてきた真美にとっては夢心地だった。５時までなんとなくマスターとありきたりな会話をしながら、外に出るともう真っ暗だった。６時からテニスのスクールだった、そのコートを出ると外はもう真っ暗だった。ここは東京といっても郊外なので空気は澄んでいるし気持ちいいくらいだった。騒音も街中にくらべない・・しばし真美は焼けいにうっとりしていた。