数日間がたった、真美はようやく自分を取り戻せた。結局22歳の幼い命はあの事件で呆気なく散ったんだ。気持ちになんだか人生の虚しさを感じていた、たったあれだけの事で死んでしまうなんて。人の人生なんてものは分からない。
数日後映子は真美を元気付けるために例のバーに誘った、マスターにこの間元奥さんが来た事を伝え裕子が死んでしまった事を話した。
マスターとも裕子は顔馴染みだったので少し驚いてはいたが精一杯また涙声になっていた真美を力強く抱きしめ精一杯の抱擁をした。「人が死ぬってあっけない。」マスターはただ何も言わず真美をそっとなだめ透かすように肩に手をゆっくり添えた。
その日は結局閉店まで店にいた、友達同士のお通夜みたいなものだった。
お通夜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・友達を事故で亡くしてしまったお通夜。
真美は周りに支えられて何とか元気を取り戻した、また平凡な学生生活が待っていた。
いつものように授業に出ていつものようにバイトに行きいつものようにマンションに変えるそんな平凡な生活に戻った。
ちょくちょくそれからはバーに行く回数が増えてそれでその都度ふるいジャズを覚えるようになっていった。今はナットキングコールにはまっていていつも真美の部屋からはジャズが流れていた。22歳の真美にとってジャズは心地よかったそして大人の時間だった。ジャズの歴史もマスターから教えてもらったし、CDもたびたびマスターから借りた。今度ジャズでも演奏を自分でしたいと思うまでになった、そんなころ自分のバイト先のオーナーがピアノを店に入れると言い出した、ここでライブ活動をしている人たちの憩いの場になってもらおうというのが狙いだった。真美はうんもすも言わず賛成した、後自分もいつかジャズを習ってここで歌えるようになるといいなとおもっていた。