このバイトに入ってもう2年がたとうとしていた、当初からのお客さんだった。ずっと眺めていた。なんだか肌寒くなったので夜またあのバーにこの間(裕子)さんを誘ったばかりなのでのみに行こうかと思った。
バイトの時間は過ぎて帰り支度をしていたときマスターに呼び止められた。
最近バーに行くみたいだけど深入りしないほうがいいと思うよあのバーのマスターには。そういわれてしまった・・・・・・・・・・・・・・・。(深入りしないほうがいいか)どうしてそんなことを喫茶店のマスターが真美に忠告するのかわからなかった。
その夜、映子、裕子を誘ってバーに遊びに行った指定席に座りいつものレッドアイを注文した。いろいろ話していくうちにどうしても気になったのでマスターに直接あの女性のことを聞いてみた・・意外なことが判明した。元奥さんだったのだ・・・・・・
でも脳裏にあの手首の傷がよぎった、なんだったんだろうアノ傷。
「元奥さんだったからすぐ連絡が取れたんだ、気がつかなかった」(真美は内心独身主義を通している男性だとばかり思っていたのでちょっとショックを受けた)
「きれいな方でしたね、あの人」(そうかな)「きれいでしたよ女優さんみたいでした」色っぽいしすごく・・・・もったいないどうして別れてしまったんですか?(マスターの顔が急に曇ったので話をそらした)(聞いちゃいけないことだったんだな)
またここで彼女とも会うと思うよ、別れても僕らは友達同士だからね。
(大人の関係だと思った別れても友達同士の元夫婦って)
なんどもなんども彼女の顔を思い起こしていた、きれいな人だった。
堀の深い顔に整った目鼻立ち。印象にすごく残る顔をして印象にのこる立ち振る舞いをするひとだった。今日はなんだか雰囲気が悪くなってしまったので体調が悪いということにして裕子と映子を残したまま先に真美だけかえってしまった。
不本意だった、聞かなきゃよかったあんなにマスターの顔が曇るなんて思いもよらなかったから。