真美は頭が混乱していた、どうして沖縄で落としたはずの手帳が東京にあるんだろう。
どうしてあの女性が手帳を拾ったんだろう、で、どうして私の居場所がわかったんだろう・・・・・???疑問だらけだった。
深く考えると頭が混乱するので考えないようにした、考えすぎると疲れてしまうので。
また例のごとくバイトに行った、カランいつもと同じように喫茶店に入る。
いつもの見慣れた風景、テラスのベンチには猫が遊びに来ていた、野良猫ででも餌づけしたのでとても真美になついていた、猫が体を摺り寄せてきた。かわいかったとても・・・とてもかわいい猫ちゃん。「こっちへおいで」そう呼んだんだけどぷいと餌を食べるとあちらへいってしまった。ここのテラスは日当たりがすごく良くて南に向いていて丁度ビーチパラソルのような傘が立てかけてあった、木製の白いベンチがありそこでよくバイトが終わると仲間でビールやバーベキューなどやった。
木漏れ日の秋のそらに少し花曇の天気だった。そこに休憩になったので腰掛けて本を読んでいた、サガン、「悲しみよこんにちは」この本は以前読んだことがあるのだけど読み返してみた。あのアールグレーの彼のことが気になった。今日はこないんだな、と思ったら少しさびしくなった。ここのベンチは座り心地が木製のぬくもりがあってとてもよかった。少し肌寒くなってきて、店の奥からカーテイガンを取ってきた。
もう秋か、早いな・・・・・・・・・・・この季節が真美は一番好きだった。
秋の紅葉がとてもきれいだし、外を歩いていても燐とした空気がとてもさわやかな一日で東京の空気でも澄んでいておいしかった。
喫茶店のマスターと手帳のことを話していた、不思議なことがあるよね。って・どうしても附に落ちなくて、疑問でしょうがなかった。マスターいわくその女性とバーのマスターが知り合いなんではないかとのことだった。そうなればつじつまはすべて合う、だって手帳に書いてあったのは真美のマンションの住所だったわけだし、マスターの手に渡るわけがないもの。でもすごい不思議な偶然だった、「たぶん常連客の女性か何かじゃないのかな?」そう話していた。常連客だったか・・・・・・・・・気がつかなかった。そういえばバーのマスター以前吉祥寺でお店やってたっていってたっけ、気がつかなかったな。しかしきれいな女性だったな・・・・