それから数日後、酸素マスクをしながら点滴を打っていた悠嘉の意識が戻ったと留守電に連絡があっていた。

時間は3時間ほど前だった。


俺はその時、生きる為に辛さを乗り越えて仕事をしていた時だった。



すぐ向かわなくては!!


時間は今4時過ぎ。

仕事中ということも忘れ、そのまま病院へ急行した。

どう運転したのか、どの道を通ったのか覚えていない。

ただ、何を話しかけたらいいのか、どう切り出せばいいのか考えていた。



病院に着くとゆっくり悠嘉の病室へ歩いた。

病院の香りという消毒の匂いが妙に鼻についた日だった。



病室は1人部屋。

部屋の前に立ち、一呼吸置いて部屋のドアに手を伸ばし、横に引いてドアを開けた。


部屋には窓側のほうにベッドがあり、そこに目を瞑って寝ている悠嘉の姿があった。

ベッドの上に掛けられた薄いテレビ。

それが付いていたので悠嘉がさっきまで見ていたのだろうと思った。



俺は歩み寄り、ベッドの横に置かれている椅子に腰掛け、悠嘉の顔を見た。

顔色はいいみたいだ。



「ゴメンネ・・。」


その時だった。

瞑っている目から涙を流しながら悠嘉の口からこの言葉が聞こえた。


「起きてるの?」


「・・・うん。」


そう言って悠嘉は目を開けた。


いつ以来だろうか。

悠嘉の目を見たのは。

そして喋ったのは。