「わたし、ダイエットするから!!水着が似合う体型になる!!」

海辺を歩きながら香織ちゃんは俺をチラッと見ながら宣言してきた。

確かに香織ちゃんは痩せてはない。

でも太ってるわけでもなく普通体型だ。

女の子っていうのは普通じゃなく痩せてなきゃダメなんだったっけ??

色々と難しいな。

でも悠嘉は店で見たときの水着姿、すっげー綺麗だったっけ。


・・・って・・・ここで悠嘉を思い出す俺って・・最低だな、相変わらず。


そんなこと思いながらも俺は口を動かした。


「いいよ。そんなことしたら香織ちゃんを今以上に他の男がジロジロ見るようになるじゃん。」


そう言うと香織ちゃんは立ち止まった。

手を繋いでるから俺も同時に立ち止まる。


「どうした?」


そう言った瞬間だった。

目に涙を浮かべながら香織ちゃんは弱々しく眉を震わせながらこっちを見ていた。

涙を流さないように必死にこらえてるかのように。



でも次の瞬間なにかが切れたかのように涙をポロポロとこぼし始めた。

俺はなにがなんだかわからずオロオロしてしまった。


「え・・・??どうしたの??俺何か変なこと言った??」


「・・・スキ・・。」



そのとき・・涙を流して小さく口を動かした香織ちゃんは俺に2文字の言葉を告げた。


女心のわからない俺はさっきの言葉が彼女にとって嬉しかったんだと今頃になって気付いた。

そして泣いている彼女を引き寄せ、グイッと抱きしめた。



「うん。知ってる。」


そう言って。


「香織ちゃん、俺大切にするから。」


そう言うと声をあげて泣き始めたから頭をずっと撫でていた。

この日、俺らは恋人同士になった。

幸せになるために。