「悠嘉ちゃんにお前はもったいないって思ってたけどな、俺は。」


フェアリーを出た後、意気消沈した俺を慎吾が飲みに誘ってくれた。

あのまま誰も居ない家には帰りたくなかったし、このままグデングデンになるまで酔ってやろうと思っていた。


「逆だろ。悠嘉に俺はもったいない・・・。」


「バーカ、お前は自分で思っている以上にいい男だぞ??俺はお前と悠嘉ちゃんは不釣合いだって思ってた。ちょうどよかったと実際思ってるし。」


慎吾は頼んだから揚げを箸に刺し、それを食べながら言った。


「んなことねーよ。」


「ま、どっちにしろもう忘れることだな。」


そう言ってから揚げをビールで流し込むかのようにビールを大量に口に含んでいた。



「──・・・あのさ、彼女なんで出て行ったんだと思う??あれだけ泣きながら本音話してさ、怒ってさ、笑ってさ。あれは本当の姿だったよな??」


「どうなんだろうな。女優以上の女優だったかもしれねーぞ??あの外見で26歳ってのも信じがたいし、どうせ年上の女だったから早く忘れるってお前に思わせるため、あの時点で嘘ついてのかもってのもあるだろ??もうこれ以上考えるなよ。」


そう言って慎吾は悠嘉の話にストップをかけた。


「そだな。全て・・嘘だったのかもしれねーしな。」


ツバサちゃんが悠嘉って名前を出したときにえ??って顔をしたのを思い出した。

本当は本名すら違ってたのかもしれない。

でももしかしたらツバサちゃんとは全然仲良くなんてなかったのかもしれない。

もう何が本当なのかもわからない。


「夜の女をもう信じたりすんじゃねーぞ。」


そう言って俺らは朝方までいろんな店で飲み明かした。

男2人だってのに寂しいと思わなかった。

それは慎吾がずっと喋っててくれたお陰だと思う。