「ゴメンねー、わたし記憶力悪くって・・・。でも見たことはあるの。かっこいいのに覚えてないなんてわたしホンットばか!!もう1回お名前聞いていいですかぁ??」


どうやらツバサちゃんは前に指名した客と間違えているようだった。


「あ、いや俺はツバサちゃんを指名したことはなくって・・・。」


そう言うとキョトンとした顔をした。


「悠嘉あ、いやキョウカちゃんを指名してたんだ。俺。」


そう言うと何か思い出したかのように大声で


「あぁーーーー!!!」

と俺を指差しながら叫んだ。


「キョウカのお気に入りだった人だ!!塚本さん!!」


「・・そう、塚本です。」


そう言うとニコリと笑って俺の太ももに両手をついて


「ねーねー、キョウカ元気ぃ??確か一緒に住んでるとか前に偶然会ったとき聞いたんだよね。あ、今日は慎吾くんはぁ??」


と聞いてきた。

偶然??

この言葉がすごくひっかかった。


「ね、ツバサちゃん昨日悠嘉と遊んだんじゃないの??」


俺が言うとまたキョトンとした顔をした。


「悠嘉ってキョウカのこと??」


「そう。本名聞いてなかったの??」


そう言うとちょっと動揺した感じでそうなんだ。と笑いながら口を動かした。

そこに妙に違和感を感じた。

仲良くなんてなかったのかもと。


「わたし、キョウカとはキョウカが店辞めてからはその偶然以外は会ってないよ??てかどうかしたの??」



このうるさい音で聞こえなかったらよかったのに。

ここに来なかったらよかったのに。



俺は嘘をつかれていたことに今気付いた。


悠嘉は何度も何度も・・・ツバサちゃんと会うと言って出て行っていたから。