「いや・・それ・・お前の前で見せつけたか・・」


「その後!!!!!手つないで2人してそのまま消えてったんだぞ・・。残された俺。4人分の飲み代を払い、水本さんの可愛くもない友達から送れと言われ、タイプでもないその子をタクシーで家へ送り、帰った時間9時。」


俺の言葉を遮られたがその慎吾の言葉に思わず噴出してしまった。


「てめぇ・・何がおかしい・・。だいたいお前が来るって思ってたら先に藤田いるしまじビビったんだけど。お前が来てればこんなみじめな思いをしないで済んだというのに。」


そう、俺は行かないということを慎吾に黙っていた。

水本さんに土曜日に7時と言われたのでそのまま藤田に言っていて、慎吾も水本さんにも行かないことを話してなかったのだ。


「悪かったよ。藤田が行きたいって言うからしょうがなくさ。お前に言うとめんどくさそうだったから黙ってたんだ。」


「めんどくさいだ!?お前のせいで俺のプライドは・・」


「水本さんはあんたにフラれても気にしないってのを見せたかったんだよ。気にすんな!!」


そう言って持っていた缶ビールを慎吾の缶ビールにコツンと当てた。

慎吾はチッと小さく舌打ちをしてビールを一気に飲みほし、冷蔵庫に入れておいた新しいビールを片手で開けた。


「あーまじだりぃ。」


この言葉を慎吾は50回くらいこの日言っていたと思う。


そして缶ビールを5本、焼酎を何杯も飲んだ俺たちはそそままその場に寝てしまい、朝の5時半に悠嘉に起こされた。


「あんたたち・・・風呂くらい入りなさいよ!!酒くさっ!!!」


この言葉で。


「悠嘉ちゃん・・・優しい言葉で起こしてほしかったな・・・。俺、傷心だから。」


「慎吾くん、あんたは日ごろの行いが悪いからよ。早く帰って風呂入って仕事行きな。」


そう冷たく言っ放って慎吾のジャケットを寝癖のついた髪をかきながら座っていた慎吾の頭からパフッとかぶせた。

寝起きでボーッとしながら見ていたが、慎吾には異常に冷たいなと思った。


女の敵って前言っていたしな。