「うまくやってんだな。お前ら。」


この日、久々に仕事が終わって慎吾と飲みに来た。

慎吾と飲んでいるが、正確には慎吾とだけではない。

今日は会社の飲み会なんだ。


俺らはそれぞれ営業だから朝とたまに帰るときくらいしか一緒にならない。

そんなに話はできない。

ここぞとばかりにこういう時にお互いの話をしている。

今日は悠嘉とうまくいっているということを伝えた。


えみちゃんと縁を切り、そして悠嘉と暮らし始めて1ヶ月ちょっと。


大きなケンカもなく、会うのは少ないけどうまくやってる。

ここ最近はメモを書くってのが習慣で、悠嘉は夕食の横にメモを残してくれていて、俺は仕事に行くときに返事をしている。


最初はいらない紙とかに書いていたが、最近はノートに書いている。

中学生のときに彼女とやったりしてた交換日記みたいだ。


「ま、俺はそんなマメなこと絶対しねーけどな。」


慎吾が言うがちょっとひねくれたような言い方だった。

俺らはうまくいかないと思っていたんだろう。

アテが外れて微妙そうだ。


「お前こそ、新しい彼女は出来たのかよ。珍しく2週間くらいいねーじゃん。」


慎吾は俺と悠嘉が付き合い始めたくらいに彼女と別れたらしい。

原因は慎吾の一言。


「飽きた。」


男友達としてはいい奴だし、おもしろいけど女の子にとってみれば俺以上に最低な奴かもしれないな。

浮気はするし、すぐ乗り換えるし・・・・

顔がいいから出来るんだけど女の敵だと悠嘉は言っていた。

もちろんこの慎吾の話を悠嘉に話した事は秘密ってことになってんだけどな。


「新しい彼女ねぇ・・・ヤれる女はいっぱいいるから欲求不満にはならねーし、お前みたいな本気の恋、俺さがすわ。」


珍しいことを慎吾が言った。

雪でも降ってきそうだ。