俺にはまだ大きな問題があった。

えみちゃんだ。

付き合えないって口に出すのは簡単。

でも、ヤってる以上、簡単に付き合えないなんて言えない・・・。

ほんっとにいい加減な自分が嫌になる・・。


俺は悠嘉との事、そしてえみちゃんのことを会社の喫煙室で慎吾に話した。


「やるなぁ、お前。彼女出来たじゃねーか。」


「いや・・まだ彼女じゃねぇけどな。」


「ばっか、彼女みたいなもんだろ。よかったよかった。」


慎吾は自分のことかのように笑顔で俺をバシバシと叩いてきた。


「いてーよ、ったく。でもえみちゃんには何て断るべきだと思う??」


そう聞くと慎吾は上を向いてちょっと考える仕草を見せた。

俺はその慎吾を見ていた。

相変わらずのイケメン。

スラッとした鼻、パッチリとした目、薄い唇、整った眉、バランスが取れてる。

うらやましい奴だ。


「んー・・やっぱしょうがねーし、彼女できたって言えば??」


「んなこと言えるか!!最低じゃねーかよ。」


「ほんとの話だろーが。最低だろ、普通に。」


「・・・そりゃそうだけど。」


「話してやれよ、ほんとのこと。その方が後々楽になるって。」


そう言うと慎吾はタバコに火をつけた。

それにつられて俺もタバコに火をつける。


「そうだな、話すよ。本当のこと。」


「しかしアレだな。俺もお前もモテると大変だよな。」


そう言って笑いながら慎吾はタバコの煙をはいた。


「俺はそんなモテねーよ。お前だけだろ、いつもいつも困ってんのは。」


そう言って俺はさっきつけたばかりのタバコを消し、部屋を出た。

俺の心の中はまだ喫煙室のような空気。

でも外は新鮮な空気。

早くこっちの空気のような心になろうと思い、今日ちゃんと話をすることに決めた。