一口、つばをゴクリの飲み込み、思い切って声を出した。

山の寒いくらいの温度の中に俺の声が混ざる。


「悠嘉、俺さ悠嘉のこと・・・・」


「わたし、真斗のこと好きだよ。」


俺のゆっくりとした言葉を遮って悠嘉が大声で言った。


「はっ?」


俺は素っ頓狂な声をあげてしまった。

あまりに信じられなくて。


「好きだよ、でも・・・わたしは・・・・。」


この流れ、フラれる!!!

確実に。

聞きたくない!!!


「悠嘉、いいよもう。フラれるってのはわかってたし。」


そう笑顔で言って俺は悠嘉の頭をポンポンと優しく叩いた。


月明かりで照らされた悠嘉の顔は綺麗だったけど涙が目に溜まっていた。


「違う・・・まさか告白してくれるなんて・・・・でも・・・・」


「いいんだ。」


そう言って俺は悠嘉とは逆の方向を向いた。

悲しい顔を我慢しなきゃと自分を戒めるため、ちょっとだけ悠嘉から離れたかったから。



「真斗・・・・お願い。もう少しだけでいいから・・・」


そう言いながら俺の後ろから悠嘉は抱き付いてきた。

驚いて何も出来なかった。

それもあるけど、悠嘉の様子がいつもと違って悲しそうだったから・・・。


俺はずっとそのままにしていた。