「え・・このままって・・・すぐ空港に向かうって事?」


「田舎なんだ、キラリがいるとこ。冬はずーっと雪に埋もれてるし、気温が1日中マイナスの日だってあるの。考えられないでしょ??そんなとこだけど・・・住めば都なんだってさ♪だから早く馴染むためにすぐ行かなきゃ。だから真斗はここでもう帰って。わたしはタクシーで空港に行くから。」


「いや、送る・・」


「わかって・・・。真斗の車になんて乗ったら・・降りたくなくなるから。きっと泣いちゃうから。お願い・・笑顔で別れさせて。」


悠嘉は涙をさっきまで浮かべていた顔に更に笑顔を加えた。

男はこういう仕草に弱いんだ。

こんなことも言われてるし、抱きしめてあげたいけどそんなことをすると悠嘉は余計辛くなるだろう。


「どうして・・帰るんだ?」


「言ったでしょ?キラリが待ってるから・・・」


「じゃあもし、香織ちゃんとのことがなかったとしたら??それでも帰ってた??前に190年かかるのに出会えたのは運命って言ったろ?あれはもう信じてないのか??」


俺は少し興奮して詰め寄った。


悠嘉の意思で帰りたいって言ってるのに止めたかった。

一緒にいてほしい。

そうだけどそれは口が裂けても言えない。


プライドじゃなく、それを言えば俺は更に自分が許せなくなる。

香織ちゃんをすぐ忘れてすぐ乗り換えたと同じだから。



だけど詰め寄られた悠嘉は笑顔のままだった。


「真斗、ゴメンネ。その質問には答えない。じゃ、わたし行くね。」


そう言ってまたポンッと悠嘉は立ち上がった。



立ったまま言う言葉が見つからない俺の横を通るとき、俺の肩をポンッと叩いた。



「大好きだったよ♪真斗。」


その言葉を聞いたとき悠嘉をバッと見た。


俺の方を向いてる悠嘉のその顔は満面の笑みで涙をポロポロと流していた。

それをまた後ろにある太陽の光が照らしててそれはとても綺麗だった。