「何しに来たんですか??その質問には答えてください。」


座ったままわたしを下から強い目で睨みつけたまま言った。

もう、答えたくなんてないのに。

そんな惨めなこと言いたくないのに。


でも・・・言わなきゃこの子、納得しないよね。


そう思ってわたしはまた座って初めて入れてもらったコーヒーに口をつけた。

心と同じくらい苦い。



「ここには・・・真斗に会いに来たの。」


「それくらいわかってます。何でいきなり来たんですか??今更来て何の用があるんですか??」


「・・・わたし、風俗関係の仕事してたの。わかってると思うけど。わたしたちが離れ離れになったのは、真斗から離れなきゃいけない事情があったの。わたし個人のね。それで真斗の目の前から身を消した。淋しかった。真斗に会えないのが。でもその事情ってのをクリアさせなきゃわたしは戻れなかった。だからクリアできて・・そしてわたしの問題が全てなくなって普通の女に戻れたら・・・真斗の目の前に帰ろうって思ってた。だから頑張れた、ここまで。でも・・・あなたがいるならわたしには居場所がない。」


そう言うと彼女は立ち上がり、棚の中にあったものを持ってきた。


パサッとそれを目の前に置かれた。


「これ、真斗とあなたと書いたノート?」


そう、交換日記のように毎日書いていたあのノートだった。

真斗、捨てずに持っててくれてたんだ・・・。

重い空気だったのに今初めて嬉しかった。


「そうなんでしょ??」


「うん、そう。でもこれは前に・・・」


「真斗はわたしにコレ、捨てたって言った。」


わたしの言葉を遮り、彼女は言った。

そして続けた。


「なんでわたしが風俗の女なんかに負けなきゃいけないわけ!?汚い女じゃない、あんたなんて。真斗・・わたしの名前何度も悠嘉って呼んだ。何であんたのこと忘れないわけ!?」


ヒステリックに彼女は言った。

声は甲高くなり、口調も早い。