「寝不足?」 さっきから眠そうな碧に白羽は声を掛けた。 彼がこく、と頷く。 「悩みごとですか」 「色々ね…」 あ、と言うと碧は席を立つ。 「ちょっと職員室行ってくる」 「うん」 「…悩み、か」 確かにそうかも知れない。 「…?」 ふと窓の外に視線をやった時。 菜束を突き飛ばす千幸の姿が目に入った。 「!」 体が勝手に動いた。 もう、廊下とも知らず、 遠くへ、遠くへと、 走り抜けた。