「ふ、ぇ…っ」 怖かった。 もうただ泣きじゃくって、怖くて。 自分も、絵が描けなくなる。 碧も、ピアノが弾けなくなる。 菜束のせいで。 「そ、なのやだぁ…!」 「野々内、小玲知らない?」 「なんかね、まだ来てないんだって」 「え?来てない?」 「うん、家は出たらしいんだけど…って」 「判った、ありがと」 碧は、中庭で菜束を見つけた。