いつものように目が覚めた。

 ゆっくりと目を開ける。

 見慣れた天井と、陽の光が見えた。


 眠気は、ほとんどなかった。

 よっぽど、ぐっすり眠れたのかな。

 そんな事を考えながら身を起こす。


 はらり、と髪が一筋肩にかかった。

 その時、ちょうど目覚ましが鳴った。

 そちらを見もせずに叩いて止めると、

 とん、と軽くベッドから降りる。

「あれ」

 そこではじめて、裸なのに気づいた。

 夕べ、パジャマを着忘れたのだろうか。

 下着も着けていないので胸が――。


 胸?


「う、うああああっ!?」

 『程よく膨らんだ自分の胸』を見て、

 『彼』、『鷹宮悠人』は叫んだ。


 無いはずの胸があった。

 あるはずの体毛が、薄くなっていた。

 短かった髪が、肩まであった。


 『彼』は、『彼女』になっていた。