「え……?」

 呟きが掻き消える間もなく。

 悠人は、影が人だと気づいた。


 翼の生えた人間が存在するなら、だけれど。


「……っ」

 ふわりと、風が舞い。

 降りてきたそれは、虚空へと静止する。

 背中の黒羽を、羽ばたかせすらせずに。


「………」


 そうして少女は、静かに悠人を見据えた。

 そう、それは少女だった。

 銀の髪、蒼い瞳をし、黒い翼を持った。

 人間離れした美貌の彼女は、その全てで、

 自らが人間ではないと、主張していた。