もともと、女顔ではあった。
 時々は女子にも間違われたし、それが嫌だった。
 ただ、今はそれが役に立っていて――。

 おかげで、変化がばれずに済んでいる。

「鷹宮くん?」

 声をかけられてはっとする。
 一美が横から顔を覗き込んでいた。
 黙ってしまった悠人を、心配してくれたらしい。

「ごめん、なんでもないよ」

 無理やり笑顔を作り、誤魔化した。

 それからは、しばらく他愛の無い話をして――。

 学園へは、すぐに到着した。

 校門で、友人に呼ばれた一美が離れていく。

「じゃあ、また教室で」

 それに頷いて、前を向き直る。

 何も考えないようにしながら、並木道を歩いて。
 その途中で。

「結構、いい雰囲気だったんじゃね?」

 別の声に、呼びかけられていた。