『……そうかもしれないね。』
「あぁ。」
その後すぐに部屋へ入って行った浩介に
『アンタみたいな男、好きになればよかったよ。』
と冗談で言ったら、
「俺はお前みたいな手に負えない生意気なガキ嫌だよ。」
と言われて
アタシは久し振りに
笑うことができた。
年の功、なんて言ったら浩介は大激怒だろうけど
浩介の言葉はいつも、アタシを正しい方向へと導いてくれた。
軽い喋り方の中に
重たい言葉を織り交ぜて
すんなりと、アタシの心を穏やかにする。
それはきっと、不器用にアタシを心配してくれているんだと、
そこに嘘はないんだと、伝わるから。
絆って、こういう事なのかも知れない。
浩介が泣きそうな時には
アタシが傍にいてあげよう。
難しいことも、優しい言葉も
きっと言ってはあげられないけど
傍に居ることだけはできる。
そう思った。