「電話してみればいいだろ?」



ほら、と弁当の蓋を開けて箸を持たされ、


アタシは渋々
弁当に手をつけた。




『いいよ。あんなこと言ったアタシが悪いんだもん。』




「でも、待ってんだろ?」




インターフォンがなる度に


少しの期待を持ってドアを開けてしまうアタシを


浩介は見抜いていた。



『待ってる……のかな。でもあの日

隆志が言った言葉も、アタシが言った言葉も

なかったことには出来ないよ。』





どうしても不味いコンビニの弁当に蓋をして



煙草に火を点ける。





隆志のカルボナーラが食べたい


なんて、思いながら




ゆらゆら部屋の中を浮遊しながら昇る


自分が吐き出した
白い煙を見上げていた。




姿形がある分だけ、いくらかマシ……だなんて


今はもう思えなかった。




姿形なんてなければ
今すぐ隆志の部屋へ
飛んでいけるのに……



そう思った。