「帰ったんじゃなかったのか?」


威嚇する俺に構わず


すたすたと近付いて来る浩介に


ほら、とユキの財布を渡された。



「人の財布、持って帰るわけいかないでしょ?返しといて。」



会社に帰って寝るからと、去ろうとする浩介に


『自分で返せよ。』


と、財布を突き返した。



「だって、俺とユキが関わるの嫌なんだろ?


俺が最初から、会社で寝ればよかったんだよ。」



悪かったな、
と、また一方的に去ろうする浩介は


ユキの言う通り、そんなに悪いやつではないかも知れない。