どれほど 痛かっただろうか…… 塞ぎかけていた傷口を 俺はこの手で 更に深くえぐったのだ。 バカな俺にも それくらいは分かった。 「帰るよ…。」 ごめんな、 と、去り際に残して もうユキの顔を見ることもできずに 俺は部屋を出た。 外はもう、薄く明るくて それさえ今の俺には 不相応なほど眩しかった。 「あ、タカシ君。」 呼ばれ慣れない呼ばれ方。 声の方を見ると、駐輪場の壁に寄り掛かる 浩介という男が立っていた。