涙だらけの顔で振り返ったユキが 『近付かないで。』 と俺を睨んだ。 「落ち着けよ。」 『落ち着いてるよ。』 「ちゃんと話しをしよう。」 そう言ってまた一歩歩み寄った俺の足元に 投げ付けられたマグカップが 割れて、砕けて、飛び散った。 『なんの話しをするの? あぁ、アタシが娼婦だって話し?』 そう言ったユキは 出会った頃のように 冷めて、温度のない 悲しみに満ちた目をした。