『あ、ねぇ、珈琲飲む?珈琲しかないんだけどね。』
あはは、と笑うユキの笑顔に
もう、余計なことは考えない事にして
「あぁ。」
と、笑い返した。
ニコニコとキッチンのコンロを捻るユキ。
こんなに大切なものを失う所だった、
そう思うと
なんて恐ろしい事をしたんだろう…
そう気付く。
けれど、釘を刺さずにはいられない事があった。
「なぁ、いくら信用してるからって、酒飲んでる男なんか、もう部屋にあげるなよ。」
カチャカチャと二つのマグカップを持って
俺の隣りに戻って来たユキは
『このマグカップ可愛いでしょ?』
と、雑貨屋で働いていることを教えてくれた。