部屋の奥から出て来たユキは


目を丸くしながら硬直した。


『隆志…何してるの…?』


恐る恐る口を開いた、部屋着姿のユキ。


右手にはタオルを持っていた。




…風呂にでも入る所だったのか?


疑惑が確信へと傾き、


思わず失笑した俺は


もう、ユキの話しを聞いてやることが出来なかった。


途中で男がユキを庇おうとしたが


それはそれで余計に腹が立った。


あからさまな嫌悪をぶつけると


男は部屋を出て行った。



『浩介は、兄貴みたいなもんだよ。』


浩介……呼び捨てか。


そんな些細なことさえ引っ掛かってしまう。


こんな状況を目の当たりにして


そんなありがちな言い訳を


信じられるはずがなかった。