屋敷について部屋までお嬢様を送る。


「それでは私はこれで失礼致します。
御用があればなんなりとお申し付けください。」


呼ばれることはほとんどないが、
決まった言葉を口にして部屋を出る。





「和馬。」



部屋の扉を閉める直前にお嬢様の声がした。


「はい。どうされましたか?」

扉をもう一度開く。


ベットに座ったお嬢様は、
うつむいったまま何も言わない。



仕方なく側に行こうとしたとき


「なんでもない。
ごめんなさい。下がっていいわ。」

悲しそうにほほ笑んだ。


「そうですか。
・・・では失礼致します。」


一礼して今度こそ部屋を出た。