「今日の和馬はなんだかごきげんね。」


お嬢様の送り迎えの車の中。
隣に座るお嬢様がおれの顔を覗き込む。



「そうでしょうか?
いつもと変わりませんが。」

苦笑いで答えた。


「そうかな。
いつもよりなんだか楽しそうだけど。
他の人は気づかなくても私にはわかるわ。」


そう言って俺を見る。

「そうですか。
お嬢様には敵いませんね。
今日はいい天気でしたので
少し気分がよかったのかも知れませんね。」


「お嬢様はやめてって言ってるのに。」


そう言って頬を膨らます。

「では小百合様。」

苦笑いしながらお嬢様に微笑む。



「・・・もういいわ。
本当に和馬は頑固ね。」


それから窓の外をみて何も言わなくなった。