そんな彼女の逃げられるはずもないのに必死な姿が健気で笑えてくる。



バッと振り向いたかと思ったら、
うるうるした目で俺を上目遣いで見てくる。


「は、離してください。」

「離してあげてもいいけど。
離したら逃げるだろ?」


そういいながらまた距離を詰めて行く。
耳元が弱いのか俺が囁くと真っ赤にして顔を逸らす。


「逃げません。逃げないです。
お願いだから・・・離してぇ。」


小さな力で抵抗してくる。



「くすっ。
わかったよ。」


少し刺激が強すぎたか。
可愛そうになって手を離した。


腕が離れたとたん思いっきり部屋の端っこに逃げられた。



あまりにも判りやす過ぎるだろう。
そんな態度が可笑しくてまた笑ってしまう。
こんなに笑ったのはほんとうに久しぶりだった。


そんな自分に驚いた。


珍しく自分からもう少し彼女と話をしたいと思った。