「どう…してっ。
どうしてあんな子…。」

痛いくらいに腕に絡みついて俯いていた小百合はぐっと唇を噛み締めて俺を見上げて睨んだ。


「どうしてあの子なら許せるの!?
どうしてあたしはダメなの!?」


涙を流しながら俺にしがみついて叫ぶ。





「あたしは…、
あたしはずっと、

ずっと和真の事を見てきたのに。


いきなり現れたあんなこに…どうしてっ。」



そう言うと泣き崩れて抱きつかれてしまった。





けれど。

支えることは出来ても、

抱き締めることは

出来ない。




俺はしがみついていた小百合の手をそっと掴んだ。


「お嬢様。
何か勘違いをしていらっしゃるようですが彼女は私の部下です。

お嬢様が感情的になられるようなことなどございませんよ。」


そう諭しながら掴んだ手をそっと放した。