―ガシッ 先に進もうとした腕を後ろに強く引かれた。 振り向くと腕を引いて俯いたまま動かない小百合。 表情が読めないまま、 「お嬢様? どうかされましたか?」 只ならぬ空気は感じつつも平常心を保ったまま話かける。 「……てっ……なら…の?」 泣いているような 消え入りそうな小さな声で何かを言っている。 それは聞き取ることは出来ない。 それでも一層強く腕を引かれる。 「…お嬢様?」 俺がそう呟いた時だった。