「どうしてここにいるんだ?登校にはまだ早いだろ。」

冷たい風をうけ、言った。
俺の思考回路にはここで朝焼けをみるいつもの自分しかいなかった。

この屋上で空をみている時、俺の気持ちは穏やかでいられた。


それにしても不可解だ。

こんな時間に学校の屋上にいるなんて。


しかも手には目をこすっても鉄パイプ。


俺は空を見上げた。


空は明るくなり始めている。

のぼりかけた太陽が、

オレンジ色の光を放ち、

街を照らしている。


無論その光は角村にもゆきとどいていたが、セーラー服の紺色が邪魔して、透き通るような白い肌にだけそれは色をぬっていた。


俺がそんなことを観察しているうちに、彼女はドアを背に座り込んだ。

白く、細い、まるで生き物のようにもろそうな足をのばして。

そうして 鉄の棒を 投げた。