「俺は亜紀が好きだから」

福原は今一番聞きたくない台詞を軽々と口にした。


……亜紀が好き?


歩き出そうとしていたはずの足が、地面にくっついてしまったかのように重くなる。


「………………」


そして何も言わない俺に福原はとどめの一撃を食らわせた。


「だから、あんたがあいつの事を好きでも俺は遠慮しないから」


そう言って俺を挑発するかのように福原は口角を上に持ち上げニヤリと笑った。