「亜紀だけは譲れない」


俺は福原をキッと睨み付け拳をギュッと痛いくらいに握った。


「あっそ。俺もあいつだけは譲る気ないから」


俺達の間に冷たく嫌な雰囲気が流れる。



そしてしばらくの沈黙の後、福原は静かに口を開いた。


「まぁ、いいか。これで俺等対等の立場になれたわけだし。あんたもせいぜい頑張るんだな」


福原は最後に「亜紀は俺がもらうけどな」そう付け足し背を向けると、校門の方へと歩いていった。